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黎明の死闘(後編)
パガルザン攻略から暫く、砂の家には暁の血盟の面々が再び揃っていた。
あれからテロフォロイの攻撃は散発的に繰り返されていた。
しかし、主要拠点を狙うわけでもなくその意図はいまいち読めない。少なくとも「塔」を出現させた主目的ではなさそうであった。
暁はシャーレアンに旅立ったクルルの報告を待ちつつ塔の攻略法を調査していた。
ホーリーボルダーら暁の他メンバーは塔に出現する異形の蛮神の討伐を、エオルゼア同盟軍は拉致被害を食い止めるべくテロフォロイと帝国の軍勢と戦い続けていた。
しかし、悪いニュースだけではない。
先のパガルザン攻略に伴い各地で蛮族との和平条約が締結されつつあったのだ。
グリダニアもいよいよイクサル族との和平を結ぶことができたらしい。
そんな中でアラミゴ解放軍の伝令係が砂の家に現れた。
各地の蛮族との和平も整ったところで、エオルゼアの各国。各種族を集めた今後の対策会議を行うらしい。
これはエオルゼア同盟軍からの要請だった。
この会議には兼ねてより蛮神対策に打ち込んでいたサンクレッドとヤシュトラ。
アルフィノとアリゼーに加え冒険者と情報管理の得意なグラハが参加者として選定された。
暁と冒険者はアラミゴ王宮へと向かう
―アラミガンクォーターへ向かいます―
アラミゴ王宮ではエオルゼア各国の首脳に加え東方連合のヒエン・リジン。
そしてコボルト、アマルジャ、アナンタ族の長が揃っていた。
他蛮族の長はまだ来ていないようだが・・・
しばしの静寂、蛮族の長が果たして来てくれるのか不安と期待が混ざった空気が流れる。
扉を開けたのはシルフ族のフリクシオだった。
その後ろから次々と蛮族の長が入室してくる。
皆の表情は安著へと変わった。
しかし、本題はここからである。
挨拶をほどほどに最初に話題を切り出したのはイクサル族の部族長だった。
イクサル族はこの同盟に参加するのが最も遅かった蛮族。
まだテロフォロイのことも塔のことも聞いていないようだ。
塔に蛮族が捕らわれていること、そしてテロフォロイの目的を説明するとイクサル族の部族長は思わず動揺するのであった。
無論、この状況をすぐにどうにかできるわけではない。
無暗矢鱈に塔へ近づけば精神汚染を受けテンパード化してしまう。
また、付近に出現する異形の蛮神も厄介だ。
「接近できないのであれば遠方から攻撃する手もあるが・・・」
と打ち出したのはメルヴィル提督であった。
「仲間こと皆殺しにしようというのか!」
サハギン族の司祭は吼える。それを収めたのはコボルト族だ。
「落ちつーけ!その気があるならとっくにやっているはーず!」
無論、メルヴィルにそんな気などさらさらない。
自信の、そしてエオルゼア同盟軍のスタンスを蛮族側へ主張するための「ブラフ」だったのだろう。
この会話の甲斐もあり、エオルゼア各国と蛮族の長は同じ土台で会話ができるようになった。
そこにサハギンの司祭は現状に苦を呈した。
「・・・天使いと帝国が組み、我らが神も、悪しき異形の姿となって敵の手に落ちている。それらすべてを相手取り、本気で勝利できると?」
彼の言葉は、弱気ともとれるがこの状況では「その通り」と言える発言だ。
帝国は内戦で壊滅状態と言えどその戦力は圧倒的。
本国のみならず各地の植民基地の軍勢もあり、東方ボズヤではまだ一個大隊のみでもレジスタンスと互角以上の戦いが繰り広げられている。
そこにアシエンと、さらに蛮神まで加わるのだから当然の疑問だろう。
これに間髪入れずに答えるのはイシュガルドのアイメリクだった。
「・・・ここに集いし、国家、種族、組織。それらが手を取り合えれば、必ずや。」
かつて100年続いたドラゴン族との戦いに終止符を打ち、融和政策を行った彼の言葉には説得力があった。
これに皆が賛同する。
無論サハギン族もこの言葉に後押しされ全面的な協力を宣言したのだった。
他の蛮族長もこれに同意する。
この段階でエオルゼア同盟軍はテンパード治療の術を蛮族側へ提供することを約束した。
蛮族も戦力と情報の共有は惜しまないとしてくれたのだった。
長きに渡る戦いの果ての和平。
ミンフィリアがここにいたらだれよりも喜んだだろう、と零すのはサンクレッド。
他のメンバーも今後についてやる気に満ち溢れていた。
具体的な今後の対応についてアルフィノが提言する。
現在の状況は拉致によりエオルゼア側の戦力は減少し、塔には超える力を持つ者しか近づけず、それも蛮神によって守られている。
この状況が長期化すればじり貧となり不利な状況となるだろう。
アルフィノはまずこの異形の蛮神召喚を阻止する方針を打ち出したのだった。
蛮神召喚には祈りとエーテルがいる。
どちらか片方が書ければ蛮神は召喚されない。
アルフィノの考えはエーテル共有の術を調べそれを断つことだった。
無論、エーテル学に精通した暁がこれを行うことになる。
エオルゼア同盟軍はこの間被害を最小限に留めるため動くことを了承した。
議会の最後にアイメリクは冒険者に問う。
「この歴史的な大同盟にふさわしい名を付けてはもらえないだろうか」
(上の選択肢を選んだ場合)
冒険者の脳裏にはかつてアルフィノが掲げた理想が浮かんでいた。
その理想を叶えるべく設立したクリスタルブレイブ。
しかしそれは呆気なく崩壊し、そのために彼と冒険者は犯罪者として国すら追われたこともあった。
だが、蒼天の竜詩を超え、紅蓮の開放戦争を超え、漆黒の夜空を取り戻したときだってアルフィノはこの理想を掲げていたに違いない。
「グランドカンパニー・エオルゼア」
冒険者はそう回答する。
「そ、その名は・・・!?」
驚いたように反応するアルフィノ。
だが、これに反対する者はいなかった。
皆が賛同し、今ここに果たすべき通過点”グランドカンパニー・エオルゼア”の設立は宣言された。
アルフィノの目に少しばかりのきらめきが映る。
だが、これは通過点。彼はすぐに次の目標へと意識を切り替えるのであった。
会議の後、王宮の外でグリダニア双蛇党の党首、カヌ・エ・センナからアルフィノは呼び止められる。
というのもかつてグランドカンパニー・エオルゼアを目指し先行組織であるクリスタル・ブレイブを取り仕切っていたアルフィノに助力が欲しいらしい。
無論真面目なアルフィノはかの一件から、組織論を失敗からまとめ上げ論文化していた。
あとは当時組織にいた人間からの意見書をまとめれば、書類は完璧なものになるという。
アルフィノはこの書類の共有を元にカヌ・エへ協力を承諾した。
ともすれば書類を完成させるため、かつてのクリスタル・ブレイブのメンバーへの聞き込みが必要だ。
人手を別け、アルフィノと冒険者はカストルム・オリエンスへ、アリゼーとグラハはグリダニアへと向かった。
また、サンクレッドとヤシュトラは調査のため石の家へ戻ることにした。
―カストルム・オリエンスへ移動します―
カストルム・オリエンスでかのクリスタルブレイブについて聞き込みをするのは現暁メンバーであるリオルとアリアヌだ。
二人はクリスタルブレイブから暁へ残った理由について語ってくれた。
二人とも少なからず自身の信念があったようだ。
また、クリスタルブレイブは目標を全員で共有できていない嫌いがあったと二人は指摘した。
意見を聞いた冒険者とアルフィノはグリダニアへと移動する。
―グリダニアへ移動します―
グリダニアで集合したアルフィノとアリゼー、グラハと冒険者は意見書をまとめ、グランドカンパニー・エオルゼアの伝達役としてこれから尽力してもらうシルフ族へ書類を渡す算段をしていた。
アルフィノのみアリゼーとグラハから受け取った意見書に目を通し書類としてまとめる作業をするため後から追うとのことだ。
先だって冒険者とアリゼー、グラハはシルフの仮宿へと向かった。
シルフの仮宿ではフリクシオはじめシルフ族の面々が揃っていた。
シルフは悪戯を好む種族。かねては冒険者やアルフィノに対して「踊り」を強要し遊んでいたが最近では人との交流のためにそれも控えているらしい。
挨拶をしているところに焦った様子のアルフィノが駆けてきた
その内容はシャーレアンからの特使がグリダニアへと赴くというもの。
しかも彼の者は立会人として暁の2人アルフィノとアリゼーを指名したとのことだ。
「私たちを指名して?その使者ってまさか・・・」
問うアリゼーに対しアルフィノは答える
「そのまさかさ。使者の名はフルシュノ・ルヴェユール・・・お父様だよ」
―グリダニアへ移動します―
結局のところシルフとの対談は少ない時間のものとなってしまった。
しかしフリクシオは気を利かせて暁の面々を快くグリダニアへと送り出してくれた。
今冒険者と暁の3名はグリダニアの不語仙の座卓に立っていた。
そこに現れるのは褐色の聡明な顔つきのエレゼン族の男性。フルシュノ・ルヴェユールだった。
シャーレアンは第七零災が起こる前、ガルマール帝国がアラミゴを占領した二十数年前からエオルゼアに対して沈黙を貫いていた。
そして冒険者もこの不干渉をずっと目の当たりにしてきた。
マーチオブアルゴン、アラミゴ開放戦線、ギリムトダークの戦。
いかなる情勢においてもシャーレアンは無言と沈黙を貫いてきたのだ。
それが今、”使者”をエオルゼアへ寄越したのはどういう風の吹き回しだろうか。
「ご無沙汰しております、お父様。」
「おぉ、ふたりもよくぞ無事で。本国で待つアメリアンスも、聞けば安心することだろう」
アルフィノとフルシュノの会話は品位はあるものの父息子の会話であることに間違いなかった。
「お母様!お母様はお元気なの!?」
食い気味にアリゼーが問う
フルシュノは答える
「もちろん……毎日、お前たちの身を案じているとも。」
そのあとフルシュノとカヌ・エの対談の滑り出しは好調だった。
しかし、カヌ・エがフルシュノの父、つまりアルフィノとアリゼーの祖父にあたるが・・・
「ルイゾワ・ルヴェユール」の名を出した時、空気が変わった。
ルイゾワはエオルゼアを救った救世主ともいえる存在。
第七霊災時にバハムートのテラフレアを受けて尚、今のエオルゼアがあるのはルイゾワの力無しでは実現しえなかっただろう。
「私は父の行いに最後まで異を唱えていた・・・」
フルシュノは少し厳しい剣幕で続ける
「・・・そしてその考えは今も変わってはいない」
”知の集積者として歴史の観察者たれ”これはシャーレアンの統一思想であり、自らがあらゆる物事へと不干渉を貫く信念でもあった。
無論これを誰が否定できたものだろうか
「私の携えてきた回答をエオルゼア同盟軍の各名手へとご伝達願いたい。
我々シャーレアンは今後、ガレマール帝国およびエオルゼアにて発生するいかなる紛争にも介入する意思はない・・・と」
不語仙の座卓に張り詰めた空気が流れる。
静寂には滝の音と木々の揺れる音だけが響いていた
これを終わらせたのはカヌ・エだ
「今、世界が”終末”の危機にある事はご存じのはず。なぜその決断に至ったのかお聞かせ願えますか・・・?」
これに対するフルシュノの回答は以外なものだった
「”終末”・・・?いや、こんなものは、人同士の粗末な小競り合いに過ぎない。我々シャーレアンが抗うべき”終末”ではないのです。」
これに対しグラ・ハ・ティアは何か察するような表情を見せる。
知の都シャーレアンの民が考えも無しにこのような発言をするはずがない。
もしかすると見落としている?今見えていない「何か」を、シャーレアンは掴んでいるのだろうか。
「待ってください!父上・・・あなたは何をおっしゃっているのです・・・!?
今抗わなければテロフォロイのたくらみに屈するのみ。小さな島に閉じこもったまま拓ける未来があるとお思いか!」
食い気味にアルフィノはフルシュノへ問う。
これに対するフルシュノの反応は「呆れ」であった。
深いため息と落胆する表情を見せフルシュノはアルフィノとアリゼーに回答する。
「そんなに声を荒げて・・私はお前たちならば正しく学べるだろうと信じて、エオルゼアへの渡航を赦したのだがな・・・
学びを得るどころかまさか知性を失うとは、私がなぜ父の行いに異を唱え続けていたのか・・・思い出しなさい」
アルフィノの表情が強張る
「問題解決のために”戦い”を選ぶこと・・・それは本当に賢明な道なのか。
人を殺し、土地を壊し、国を疲弊させる。勝利を掴んだとて、生じた犠牲を埋めるには長い年月がかかる。
そんな選択は、長期的視野で見てなお正しいのか?」
「真に知的な者とは、争いを避ける術を知る者のことだ。お前たちが大切なものを得たというのなら、なぜそれがわからない」
(一番上の選択肢を選んだ場合)
「それでも、傍観だけが正義ではないはずだ」
フルシュノの主張に対し、冒険者は答える。
しかしそれは呆気なく無視されてしまった。はなから”エオルゼアの野蛮な民の声は聞こえていなかった”かのように
「いくら黙っていようが構わない。ただそれは、正当性を証明できぬ行為を、他社に強いようとしていたということだ」
「アルフィノ、アリゼー・・・。
今日からルヴェユールの名を捨てよ。」
フルシュノの回答は”縁切り”というあまりにも重く残酷な一言であった。
「今後、お前たちの行動に、私は一切干渉しない。戦いを望むなら・・・エオルゼア諸国とともに、好きなだけ血を流すがいい。」
そう言い切りフルシュノは去っていく。
カヌ・エの呼び止めも虚しく「これ以上は建設的ではない」と言い切られてしまった。
追うアリゼーに対して静止するアルフィノ・・・シャーレアンとの対話は唯協力を得られぬだけでなく、失うことの方が多い対談となってしまったのだった。
月が照らす不語仙の座卓で、アルフィノは自らの行いを振り返り迷いの霧に佇むのだった。
さらに時を同じくしてシャーレアンに到着したクルルから連絡が入る。
この状況の協力を取り付けようとあらゆる方面から議員と面会したものの、まるで取り合ってもらえなかったらしい。
「俺たちの知らない”何か”を隠している・・・か?」
これに違和感を覚えたのはグ・ラハ・ティアだ。
彼はフルシュノのまるで”最初から突き放す”かのような言葉に強い違和感を覚えていた。
そしてこうも続ける
「これは、シャーレアンが抗うべき”終末”ではない・・・まるで本国が抗おうとしている別の何かがあるみたいにな」
しかしながら、これでシャーレアンに対するアプローチは八方ふさがりとなってしまった。
だが、もしかすればクルル以外の暁の面々であればシャーレアンで何か突破口を見出せるかもしれない。
クルルは暁のメンバー全員をシャーレアンに招待する準備を進めるとのことだった。
「たたた、たいへんでふっち~!!!」
そんな中、シルフ族の使いが不語仙の座卓へ勢いよく飛び込んでくる。
どうやら「伝達役」としての責務を早速果たせていそうだ。
しかし、その内容は決して穏やかなものでは無かった。
イクサル族のもとへ向かったシルフからゼルファトルへテロフォロイの軍勢が進行したとのことだった。
この軍勢には帝国だけではなく、誘拐された蛮族、そして異形の蛮神まで含まれているという。
しかし、軍勢はイクサルとゼルファトルを無視しさらに西に進んでいるとのことだった。
ゼルファトルのさらに西となるとクルザスだが・・・
同時に双蛇党の守人にもイシュガルドから連絡が入る。
アイメリクはすでにその進軍先を見切っていたようだった。
かの軍の目的地は”カルテノー平原”。
かつてバハムートが呼び起こされ第七霊災が起こった中心地だ。
エオルゼアの中心地域ともいえるカルテノー平原への進軍は決して認められるものでは無い。
すでに他の軍勢は動き出していた。
暁と冒険者も双蛇党と共にカルテノー平原へと向かうことへする・・・
グリダニアランディングへ足を運ぶ冒険者とアルフィノだったが、その入り口に見知った顔が立っていた。
フォルドラだ。
彼女は一言だけアルフィノへ伝える
「出立の前に少し顔を貸せ」
フォルドラは人通りの少ない場所へ二人を案内する。
そこにいたのはアレンヴァルドであった。
どうやら意識を回復したらしい。
安心したアルフィノであったが、その安著は一瞬であった。
「まさか・・・足が・・・」
アレンヴァルドはふっと、「ずいぶんとアッサリきちまったな・・・お前に見下ろされる日がさ」と冗談のように語る。
しかし、それは決して二人にとって”冗談”で済まされる言葉ではなかっただろう。
アレンヴァルドの足はもう動かないと診断されたらしい。
そのために彼は車椅子に乗ってグリダニアまできていた。
本来外出なんて認められるものではなさそうだが、それでもアルフィノを思いここまできたのだろう。
ひょっとすると、この外出に際してフォルドラの協力もあったのかもしれない。
アレンヴァルドはアルフィノに対して「俺の夢を継いでほしい」と語る。
かつて自分がなりたかった、それでも今慣れなかった夢を。
だがアルフィノも二つ返事とはならない。
かつてクリスタルブレイブを設立したときの彼なら元気よく返事をしただろう。
だが彼も蒼天の空を仰ぎ、紅蓮の戦場を駆け、漆黒の世界を救った。
この世界の様々なことを知ったからこそ、人は単純にはいられないものだ。
それに、先のフルシュノとの一件もある。彼は今まさに悩んでいた。
だが、アレンヴァルドは冒険者に問う。
「英雄を名乗れというつもりじゃないさ、みんなが英雄と呼ぶ冒険者殿だって自称しているわけではないだろう?
それでも、お前は間違いなく俺たちの英雄だ。今も世界を守ろうと集った人たちの中心で力強くたっている。
そうして、自分の思う未来のために戦っているんだろ?」
これに対して冒険者は少し悩み、こう答えた
「まだ冒険は終わってないから」
(以下上記選択肢を選んだ場合の展開)
アレンヴァルドはアルフィノに対して「お前も同じでいいんだ」と説く。
どうやらアレンヴァルドはアルフィノの迷いを見抜いていたようだった。
「それでも、お前はここにいるじゃないか」
迷っていながらも、そこから逃げださずに前へ進もうともがくアルフィノ。
アレンヴァルドはそんな彼の振る舞いを「誇らしい」と評価した。
アルフィノははっとした表情を浮かべる。
かつて挫折もあったが、今こうしてアルフィノは戦いの渦中に立っていた。
「必ず、また君に会いに行く。この胸に生まれた答えを伝えに」
ここで答えを出さないのは彼なりの信条なのだろう。
それでもアルフィノは迷いの中に光明を見出した。そんな目をしていた。
冒険者とアルフィノはグリダニアランディングへ戻る。
目指すは第七霊災の発信源。カルテノー平原だ。
話によるとすでに双蛇党、さらにはアマルジャ族やイクサル族までもが協力のために戦地に赴いているらしい。
カルテノー平原に到着すると暁の面々はすでに集まっていた。
アルフィノは面々に向けて説く
「シャーレアンへの要請は断られてしまった、これにより帝国への対策と目論見を見通すことはまたしても難しくなってしまった。
そんな五里霧中の我々に相手方は最大戦力をぶつけてきた。厳しい状況だが我々は全力を尽くすしかない。それが未来を作るきっかけになると信じて。」
サンクレットはアルフィノの強い演説に「迷いはもう晴れたのか?」と問う。
これに対しアルフィノはこう答えた。
「私はまだ迷いの霧の中にいる・・・。だが曖昧な心に「それでいい」と言ってくれた人がいたんだ。前に進もうとすること。それこそが必要なのだと」
優れた策士であるものの頑固で優柔不断、心優しい彼に対して暁の面々も同じく首を縦に振った。
テロフォロイは、敵は目前であった。
さらに巨大な力を持ちいて疑似蛮神をも召喚。
カルテノーの大地は瞬く間に戦地へと翻った。
暁は3つの舞台に分け、それぞれ疑似蛮神と対抗していく。
戦いの最中、ヤシュトラは一つの事実に気が付く。
テロフォロイの狙いはこのカルテノー平原のエーテル結節点であった。
カルテノー平原は第七霊災を期に大きく地形が変動したエオルゼアの中でも特別な地域である。
かつてバハムートが、そしてフェニックスが召喚されたこの地はアジムステップを超えるエーテルの結節点となっていた。
これを破壊することで連鎖的にエーテルの流れを破壊することが可能なのだ。
もし実現すればザ・バーンのような死の大地も生まれ、災害が発生するだろう。
それこそ”霊災”と呼ぶレベルの大きなものが。
冒険者と暁はそれぞれルナ・ラーヴァナ。ルナ・オーディン。
そしてアレンヴァルドを再起不能まで堕としたルナ・イフリートと戦い退けることに成功する。
撃退に対しアシエンファダニエルはこう呟いた
「おやおや・・・ここまで抵抗するとは予想外でしたね。計画を早めるつもりでしたが、失敗失敗。」
しかし、これは同時にこの大きな戦火が「計画」の序章に過ぎないことを物語っていた。
エオルゼア同盟軍、言い換えグランドカンパニー・エオルゼアの損害も決して小さいものでは無かった。
単純にダメージを負った者。
精神汚染を受けた者。
アリゼー、アルフィノをはじめ多くのものが彼らを救おうと努力はしたが、そのすべてを救いきれるはずはなかった。
もちろんその犠牲の中には各種族の者たちの姿もあった。
全員を救えるわけではないと分かっていながらも、それが実現できない自分の無力を痛恨せずにいられないアルフィノであったが、アマルジャ族の戦士は彼に話しかける。
「感恩餓徳・・・。帝国に連れ去られた同法全ての帰還は叶わずとも、少なからぬ者達を商機に戻すことができた。
我らが同法を救うためそなたらが死力を尽くしてくれたことは、疑う余地もない。だから・・・どうか顔を上げてくれ。」
この言葉に「救われたのはこっち」と返すアリゼー。
アルフィノも答える
「決して、完全なる勝利ではない・・・。それでも、私たちはきっと前に進んでいる・・・!」
自分に言い聞かせるようにも思える言葉には、確かな強さと前に進まんとする思いを受け取った覚悟があるように見える。
顔を上げるアルフィノ。
光が差し込む、月の光だ。
光はこの戦場に立つ者を平等に照らす、冒険者、暁の面々、エオルゼアに住まう仲間達を・・・
煌々と漆黒の空を照らさんとする真夜中の月。
エオルゼアの大地に住まう者は一点にそれを見つめた。
これは必ず決着をつける覚悟の時なのかもしれない。月が巡り、暁月となるその時まで・・・
幾日後。
石の家で暁の面々は新たな戦いへと備える。
エスティニアンは「東方への旅が飽きた」との理由で暁に協力をしてくれるらしい。
エオルゼア同盟軍は異形の蛮神を抑えることに注力をするそうだ、暁ができることは終末の塔の調査と攻略。
これを行うにはやはり、知の都シャーレアン本国へ赴く必要があるだろうとはグラハの意見だ。
皆が同意した。無論冒険者もその一人だ。
北洋の地へと歩みを進めることとなる・・・
―一方そのころ―
崩落した街に人を狩るはゼノス・イェー・ガルヴァスその人だった。
「いやはや、エオルゼアの連中も意外とやるもんですねぇ」
演技のかかったセリフと共に背後に立つのはアシエン・ファダニエルだ。
「あいにくと、結節点の破壊には失敗。今後も地脈の流れはカルテノーに集まり、”杭”へのエーテル供給は相応のモノになるでしょう。」
ゼノスは何も返さない。
「残念ですが、その分こちらの出力を上げればいいだけのこと。少しばかり”アレ”の見る夢が深くなりますが・・・問題ありませんよね?」
ようやくゼノスが言葉を返す。
「・・・構わん。アレにとっては、むしろ本望だろう」
ファダニエルはさらに重ねる
「では、急いで調達いたしましょう。”神の門”はこうして完成しているのです・・・あとはエネルギーさえかき集めれば、念願の獲物に手が届く!」
彼の見る先にはガレマルドにそびえたつ巨大な塔。
それを照らすのは不気味に、紅く光る月であった。
・・・
・・・・・・
エオルゼアでは暁がエオルゼアでの調査を行っていた。
今行っているのは地脈の捜査だ。
どうにも塔はエーテル結節点に設置され、地脈のエーテルを吸い上げているらしい。
つまるところ、クリスタルを媒体とするのではなく地脈のエーテルをそのまま吸い上げこれを利用し異形の蛮神を召喚しているらしいのだ。
この結果を報告するべく帰路につく暁の一行。
最後尾を歩く冒険者は何かに呼び止められる。
―お願い・・・聞いて・・・・-
―危機が―終わりのときが―迫って―
・・・・護って―あなたの―星の未来を―
そう唱えるように何かはその場から消えてしまった。
終の担い手が見上げる黎明の空に、暁月が静かに輝く
そして今、フィナーレの膜が上がるー
つづく
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