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VJ機材

VJよ、デジタルを恐れるな -HDMIを制御するEDIDとそこを流れる信号をわかった気になる記事ー

こんにちはszkです。

VJを行う際にV1HD等を使用すると稀に発生する「画像が乱れる現象」に遭遇した人は少なく無いハズです。
問題を切り分けした結果「PCを直接つなぐいで解決した」といったケースも少なくないと思います。
こういったケースでは大体EDIDの失敗が原因となっているパターンがほとんどです。

■EDIDとは

Extended Display Identification Dataの略称です。
概要の説明についてはこちらのサイトが参考になります。
http://www.hdmi-navi.com/edid/

皆さんがPCをディスプレイに繋ぐとき特に設定を行わなくても「最大の解像度」に設定を行ってくれると思います。
あれを実現しているのがEDIDです。
EDIDは以下のような手順で接続されています。

1.ディスプレイと機器(PC)が物理的に接続される

2.HDMIの中の3pinを使用して5Vの電流が流れる
 →この仕様によりモニター電源が切れていても自動検知が可能

3.EDIDの回路に電源が入るとホットプラグダイレクトピンという接続認識用のピンを使い信号を送る。
 →HPD信号がローからハイに変化することで機器を接続したことを知らせる。

4.HPDの変化を確認すると送出側が必要な情報(EDID)を表示機器側に要求する

5.表示機器側が情報(EDID)を映像ソースとなる機器(PC等)へ送る。
 →自身の対応可能な解像度一覧、fps等の情報

7.映像ソースとなる機器から表示機器側へ最も最適な信号を送る。

8.すべて完了すると送出側が適切な解像度で表示信号を送る

この手順のうち4で行う作業をEDIDハンドシェイクと呼びます
デジタル信号はアナログと異なり「様々な信号が可変的に送受信」できます。
アナログの時は全ての信号が480iだったので特別な設定はいらなかったのですが、デジタル信号は送受信の設定を合わせる必要があります
しかし、いちいち接続する度に設定をするのでは大変です。
そこでEDIDハンドシェイクによって刺せば映るという状況を実現しています。

EDIDハンドシェイクは非常に優れた仕様であると思ってください。

ネットワーカーが好きなタイプの図にするとこんな感じ

■EDIDのミスマッチ

先に書いた通り、デジタル映像機器には解像度が存在します。
ゲームをやる人や映画を見る人は「480p」「720p」「1080p」といった言葉は聞き覚えがあるかもしれません。
これらを自動的に判別するのがEDIDだというのは前述の通りです。

ただし、EDIDも万能ではありません。いくつかのパターンにおいてはむしろ不利に働く場合もあります。

■映像をスプリット(2分岐)した場合に機能しない場合がある

EDIDは基本的に1対1で行うものです。
※HDMIによる映像出力は1対1を前提にはしてません

スプリッターを入れた場合どうなるでしょうか。

この場合は製品に依存しますが、基本的には「最初に接続したほうとEDIDハンドシェイクを行います。」
※製品によってはポートによって優先度が決められているものがあります。
では、あとから挿した機器はどうなるでしょうか。
こちらは基本的には「解像度に対応していれば信号を受信できるので映る、対応していない場合は映らない」
という回答になります。

この際現場でありがちなのは「スプリッターの先を片方がHDMIのプロジェクター(最大1080p)、片方をRCAのプロジェクター(最大480p)に設定し、先にHDMIによる接続を行うとRCA接続のプロジェクターが解像度に対応できず映らない」というケースです。

もちろん、RCA側から挿した場合もHDMIのプロジェクターは480pに解像度を合わせることになります。

こちらの対処法については後述します。

■EDIDは「失敗」する場合がある

さらに「EDIDハンドシェイクが失敗する状況」というのも存在します。

HDMIケーブルの距離不足から始まり、間の機器の相性(後述)や時代による規格不整合や単純なパケットロス等その原因は様々です。
さらに接触抜け等が入るとそこからさらにEDIDによる機器間の再接続が始まります。(再接続時は画面が途切れます)

と、「EDIDは失敗するもの」という前提で「映像出力側であらかじめ出せる映像を固定してしまおう」という製品があります。
ROLANDのV1-HDが良い例です。
※V1HDは背面にある解像度切り替えスイッチで720pと1080pを手動で切り替える仕様です

しかし、これが現場で起こる「画面が映らない現象」を引き起こすこともあります。
「V1HD」は出力が”720p及び1080i/p”(50fps/59.94fps)にしか対応していません
つまりV1HDにEDID上で480pしか出力対応していない機器を接続するとEDIDのミスマッチが発生し、画面が映らなくなります。

結局何に気をつければいいの?

大体次に気を付けていれば事故を減らせるでしょう。

・出力入力機器の対応EDIDをチェックすること(事前に接続確認しておくこと)
・スプリッターの場合は信号を通すタイプか、自らがEDIDを吐ける機器かチェックすること
・HDMIケーブルの距離を確認すること、バージョンを確認すること

投影事故無しで行きましょう。ヨシ!

 

参考記事

EDIDのバージョンと仕様について:http://www.hdmi-navi.com/edid/

HDMIの中を流れる信号について:http://www.hdmi-navi.com/hdmi_cable_what_goes_through/


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