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OSSビジネスにAmazonが言及か、「open distro for elasticsearch」を発表。

こんにちはszkです。

仕事が忙しく2日前の話題になってしまうのですが、AmazonがElasticsearchの新しいディストリビューションとして「open distro for elasticsearch」なるものをリリースしました。
という書き方をすると、あたかも「Elasticsearchにはいくつか種類があるんだ」と思われますが、Elasticsearchは今までElastic社の提供するElasticsearchしかありませんでした。
今回のAWSの発表については少しダークな部分も見え隠れしたので話題にしたいと思います。

release記事「新登場 – Open Distro for Elasticsearch

Elasticsearchとは

技術的な話については先日インストール記事を記載しましたが、Elasticsearchは分散処理に長けた検索エンジンのOSSです。
ベースはApache 2.0 Licenseを使用しています。
本家ElasticsearchもOSSプロジェクトですが、いわゆるOSSビジネスであり世間一般的なOSSとは少しイメージが違います。
Amazonはそこを狙って今回のリリースを行ったと思われます。

本家Elasticsearchの課金方式

先の通りでElasticsearchは「基本OSS」です。この「基本」という部分がポイント。
Elasticsearchはいくつかのコンポーネントがあります。
・データを取り込む「Logstash」
・データを可視化する「Kibana」
・コアとなる「Elasticsearch」
・データジッパーとなる「Beats」
そして、さらなる機能を追加する「X-pack プラグイン」です。

この中でX-packプラグインのみはOSS領域から漏れており、これらの機能を使うにはElasticsearchのライセンスが必要となります。
そしてX-packで追加できる機能としては次のようなものがあります。

・ユーザー認証
・閾値やスケジュールでのアラート発報
・SSLなどのセキュリティ機能

他にも機械学習機能等々アドバンスな機能がありますが、企業からすると「Elasticsearchを使うには有料プラグインの購入が必須」という構造なわけです。
しかも「プラグインに対する課金」ではなく、「Elasticsearchのライセンスが上位だとプラグインが使える」という形のため、「OSSというには無理がある」という声も無いわけではありませんでした。
ここで今回のAmazonの発表に繋がります。

Open Distoro for Elasticsearch

Blogの発表に記載されている「真のオープンソース」というのは上記の本家Elasticを皮肉ったワードで、AmazonのElasticsearchでは先述したX-packに相当する機能に課金での制限がありません。
つまりアラート機能やセキュリティ機能を無料で使用できることになります。

これはもともとAmazonがAWSの「AWS Elasticsearch Service」で提供していたものを「インストーラー化し、オンプレでも使えるようにした」という背景があります。
さらに、Elasticsearch Serviceでは今まで本家Elasticの各Versionからフォークしていたようですが、今回完全にAmazonのElasticsearchとしてリリースを行った。というのがOpenDistro for Elasticsearchとなります。

対して本家Elastic

もちろんElastic的にはビジネスとしてやっているわけですから、自分たちの作った製品をタダで公開されてはたまったものではありません。
確かに本家Elasticのビジネスは既存のOSSとして見れば異質でしたが、そもそもが前例があまりなく
立ち上がっては企業に買収されていくか消えていくOSSの現状を考えると至ってスマートな開発体制であると個人的には思います。

AWSの発表から数時間後にElastic代表から実筆のBlogが公開されました。

On “Open” Distros, Open Source, and Building a Company

この記事ではElasticは「今まで我々はOpenなコミュニティで開発してきた、X-packは開発を持続させるため方法でそれを行うことでElasticはいかなる組織の影響も受けずにElasticとしての本質を貫いてこれた」的なことが書いてあります。
正直AWSの発表は中々に鋭いですし、客観的にみるとElasticのエンジニアをAWSが買収することで、OpenDistro for Elasticsearchが本家以上にコミュニティが盛り上がれば、事実上AmazonはElasticsearchを買収できたことになります。
そんな中での切実なメッセージは中々に思うところがありました。

どうなる、検索エンジンOSS

といっても、OS的にはディストリビューションが分かれては消えていった歴史がありますし、機能が良いほうを使うというのが世の常だと思います。
ただ、OSSでのビジネスの「オチ」が「消滅か買収」であったところに新しい形態で継続性を狙ったElasticに対し、今後の動き方によっては「買収するための前例」を作り出すことによって業界的に委縮してしまわないかが少しだけ心配だなと思った今日のこの頃でした。

考えすぎ?

おわり。

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