やりました。
来る5月の四国アドベンチャーラリーをめざしてDJEBELのメンテナンスをやっていくぞ。
ちなみに過去にやったのは燃調くらい。

タイヤはまだ新しいし、大丈夫だろう。
ブレーキは・・・うん。
元々はテクニクスにOH依頼を投げようと思って4月頭にメールを送ってみたのだけど
「年式が古いから再メッキいるかも?これやったら1か月じゃ終わらないと思いますわ」
という正論パンチを食らい、んにゃぴ、となったところで自分でOHすることにしたぞ。
皆!旧車の整備依頼よっぽど面倒見のいい工場が近くに無い限り、状態理解してないと依頼すら投げられないから気を付けろよな!
ということでやっていきます。
重い腰上げてFフォークOHするための部材かった
— szk(すずき) (@szkP0151) October 25, 2024
結構前から準備しててワロタ。さっさとやるんだよ!
やるぞやるぞ
フォークの取り外しは意外と簡単だ。
「タイヤを外して」「フォークを止めているトップホルダーとロアホルダーのボルトを緩める」だけでフォークが抜ける。
ただまぁ、手順ではこう書くが、前提条件がかなりシビア。
バイクをフロントフォークが下に抜ける高さまで持ち上げないといけない

szk家ではリアスタンドで水平にしたあと、オフロード用のジャッキで中心を持ちあげ
さらにUNITのフレームスタンド(これにジャッキレバーがついた版)でハンドルを吊るし転倒防止とすることで作業しているぞ。

SPADAからの連続整備だからガレージがめっちゃきたねぇ!
とりはずしたフォークはてっぺんに樹脂の蓋が被さっているのでまずはこれを取る。
すると↑の状態になる。
少しくぼんで見えている銀色の蓋がトップキャップと言われるパーツだ。
SUZUKIのパーツリストだと「シート、スプリング(51192-20510)」という名前になっているな。
コイツ自体の交換は不要なパーツだが、一緒にOリング(51181-31030)がセットになっているので、こいつは交換するのがいいだろう。
んで、このトップキャップはストッパリングで固定されている。
わずか数ミリにも満たない金属でフォークのばねを止めていると考えると中々に凄いものだなと感心する。
今回このストッパリング(51169-47400)も交換する。
ストッパリングはトップキャップを押し込んでる間に、細いマイナスドライバあたりで引っ掛ければ外せる。
ちなみにばねの勢いで中身が出てくるので気を付けよう。(1敗北
上の写真のようにバイスで挟み込んでやってもいいし壁に押し付けてやってもいいと思う。
トップキャップは結構押し込むのにパワーがいるので12か10くらいのソケットにTハンドルを付けて押し込むと力が入れやすくて楽だった。

んで、外れるとこんなパーツが出てくる。
長いのがメインスプリング(51171-42AA0)。
こいつはバネが伸びきってしまっていたら交換だ。
今回交換は不要そうだったが状態が分からなかったのでパーツは発注。交換もしてしまった。
さらにその上にはシートスプリング(ワッシャーみたいな奴、ばねの後ろに隠れてる)。
そしてピストン(円柱状のパーツ)が入っている。
これらのパーツをトップキャップで押さえつけているという訳だな。
ちなみにこの段階でフォークオイルが出てくるようになっているが、オイルは割と新品?ってレベルで綺麗。
どうやら前オーナーはフォークオイル交換をちゃんとやっていたようだ。
もしかしたらこのメインスプリングも新品だったのかもしれないな。
さて、ここからが苦労するシーンだ。
インナーチューブを抜こう(提案
ということでインナーチューブを外す作業に入るぞ。
SUZUKIの手順を見ると
1.ダストシールを外す
2.ボルトを緩める
3.オイルシールストッパリングを外す
4.インナーチューブが抜ける
という手順らしい。
実際この手順は合ってる。
が、今回あまりにもここに苦戦し、手順を疑うまで苦労したぞ。
まず1の「ダストシールを外す」だが、このダストシールがめちゃくちゃ固着してた。

この写真を見ると解る通り、ダストシールは金属のパーツにゴムの被膜がかぶせてある構造のパーツになっている。
このパーツの外し方としては、アウターチューブとダストシールの金属部の底辺の間に、細いマイナスドライバのようなものを入れ込んでプラハンでたたいて外す。のが正攻法だと思う。多分。
ただこのパーツ自体も結構堅めに入るように設定されており、さらに固着ってるので超難航。
結局上のゴム部分を全て剥いで、ダストシールを外す前に「3」のオイルシールストッパリングを外し、先にインナーチューブを抜いたのちに、内側からオイルシールリブーバを使って、テコの原理で救い上げるように外した。
マジでここやってるときは積んだと思ったゾ・・・
また、2の「ボルトを外す」の部分は巷のナレッジ記事やYoutubeで「一番苦戦するところ」とよく記載されている部分だ。
このボルトが何をしているかというと、フロントフォークはアウターチューブ>インナーチューブ>ピストンという3つの金属パーツが入れ子になって構成されているパーツなのだけど、このピストンの底部にネジ穴があり、アウターチューブの外側からボルトで止めてしまえばインナーチューブが抜けない、という仕組みになっている。
んで、基本的にフロントフォークは潤滑されたパーツであるため、インナーチューブもその中身のピストンも回転軸は固定されてない。
なので、ボルトを緩めようとすると中身のピストンも一緒に回ってしまって外れない、ということになるわけだ。
防ぐためには長いインナーチューブに何かを突っ込んで供回りを防ぐ必要がある。
んで、SUZUKIのサービスマニュアルではどうしてるのかというと・・・

この「アタッチメントD」と呼ばれるやたら名前のカッコいいSSTが必要になるわけなのだけど、こいつはすでに廃版だ。
ちまたのYoutubeを見たりすると各々金属片を加工して自作SSTを作ったり、そもそもトップキャップを外す前にバネの圧着がある状態でインパクトドライバーで外したりと、いろんな方法が出てくる。
szkは正直オリチャー発動する技量もないので(ダストシールで既にやってるけど)、正攻法・・・ですかねぇ。
じゃぁ、このアタッチメントDをどこから手に入れるのか。という話なのだが・・・

実はYAMAHAが同じ形状のSSTを作っていたりする。(写真上
モノタロウは写真付き→URL

こいつをとにかくいい感じに長くして(雑)SST化しよう。
んで、インナーチューブに突っ込んでいく。
ただ、ちょっと細いのか若干頼りないので、使うときは
・インナーチューブに突っ込んで
・フォークをさかさまにしてSSTが地面に当たるようにする
・重力の力で押さえつけてボルトを上から押さえつけながら外す
という方法で上手に外せたぞ。

▲横向きで手で押さえつけると結構つらい。このまま90度倒して重力で押さえつけよう。

▲写真あったわ
んで、ここまでやってようやくインナーチューブが外せる。
恐らく整備する人からすると「あたりまえ」なのでどこにも書いていないのだが、インナーチューブは勢いよくガツンガツンと引っこ抜こうとすると外れるようになっている。
とくに錆等が無ければ数回で外れる・・・はずなのだが、今回ここも超苦労した。
2時間格闘しても外れないのだ。
結局インナーチューブを可能な限り抜いた状態でラスペネを吹きかけて1晩放置。
翌日再びガツンガツンしたら抜けた。
やっぱラスペネか。
んで、トップキャップが外れてからインナーチューブが抜けるまで、ここまで10日間かかった。

ジェベルのオイルシールはなんか金属が一体になってた奴だった→金属がさび付いて固着して外れない
— szk(すずき) (@szkP0151) April 13, 2025
ついでに右のフォークはインナーチューブが回っちゃって外れない。
どうなるの~!?
この時のszk。まだアドベンチャーラリーまで2週間あるけど結構焦ってた。
最悪SPADAで行くとかもかんがえたもんな。
さて、ここまで出来たらあとは組付けだけだ。
続きをやっていこう。
組み立て

大量の純正部品。
今回一通り発注したが全て在庫ありだった。たすかる。
さて、今回元の状態が分からないこともあり、時間もないのでインナーチューブとアウターチューブ、そしてピストン以外は全交換と相成った。
全部で3万くらいしたゾ・・・
見た感じ金属部分もおおく交換不用品も多かったので、以下に消耗品とそうじゃないものを区別しておく。
◆交換推奨品
・51181-31030 Oリング→トップキャップのシールとして機能するOリング。消耗品。交換推奨。
・51196-45200 リング・ピストン→ピストンの樹脂パーツ。交換推奨。
・51173-01A00 ダストシール→ダストシール。交換必須。
・51153-19D10 シールオイル→オイルシール。交換必須
◆摩耗してたら交換
・51169-47400 リング・ストッパ→トップキャップを抑えるストッパリング。負荷がかかるパーツなので交換がいいかも。
・51156-01A00 オイルシールストッパ→オイルシールのストッパリング。外し方をミスって変形した場合は交換。綺麗に外せれば流用いけそう。
・51152-33300 プッシュ・ガイド→インナーチューブの金属シールのスペーサー。金属パーツだが内側にテフロン加工あり。交換してもいいかも。
・51161-42AA0 メインスプリング→インナーチューブ内のメインスプリング。規定量超過で交換。
・51177-01A00 リバウンドスプリング→ピストンの返しのピストン。規定量超過で交換。
・51121-33300 ピストン→インナーチューブの先端に装着される金属パーツ。錆等ある場合交換。
組付け手順としては
1.インナーチューブをアウターチューブに入れる
2.ピストンをインナーチューブに入れる
3.裏側からピストンのボルトを締める
4.オイルシールをはめる
5.オイルシールストッパリングをはめる
6.ダストシールを装着する
7.フォークオイルを入れる
8.メインスプリングを入れる
9.トップキャップとこれに付随するパーツを入れてストッパリングで固定する
という流れだ。
この中でよく苦労するとされているのが「6」のオイルシールをハメる部分だろう。
これはオイルシールドライバーなるSSTを使ってハメるのが良いとされているので、自分も購入してやってみたのだけど・・・




結局塩ビパイプが最強なんやなって・・・
シールドライバは汎用性があっていいのかもしれないけど、力がうまく分散せず結局オイルシールを1つダメにしてしまった。
技量の無い下手くそほど塩ビパイプの方がいいのかもしれない。
ちなみに30径のパイプがジェベルではぴったりだ。
手で押さえるとアウターチューブに干渉するので、上の写真のように末端用の蓋を買ってきてゴムハンマーでたたきつけるといいぞ。
シールドライバで1時間かかってもうまくいかなった作業が、塩ビパイプでは1分で終わりました。
尚、ここに至るまで作業「7」のフォークオイルを入れる前にボルトを締め忘れて床をフォークオイルまみれにしたり、「5」のオイルシールストッパリングを入れ忘れて蓋をしてしまい、再びダストシールを外す手順をしないといけなくなった上げく、パーツを無駄にしたりと踏んだり蹴ったりだった。
ちゃんとチェックリストを用意して作業しような!!
尚フロントフォークオイルはサービスマニュアル指定のSUZUKIのものが廃版のため同じ粘度のHONDAのフロントフォークオイルを利用したぞ。
こいつならSPADAと共有だし使いやすいからな。
尚油面調整はメインスプリングを入れる前の状態で179mm。オイル規定量は307ccだ。
最後のトップキャップの装着は1人だときつい。
嫁ちゃんに手伝ってもらって装着した。
1人がインナーチューブを持ちあげながらトップキャップを押さえつけ
その間にもう一人がストッパリングをはめるといいぞ。
誰か一人でできる方法を教えてください。
完成
うごいた、とまった、まがった。よし! pic.twitter.com/b1s3qgdPIG
— szk(すずき) (@szkP0151) April 27, 2025
ということで完成。
近所の下道&高速道路で試乗してみたぞ。
問題なさそうなので、ヨシ!
これで四国に行く準備が整ったな!