Loading...
ゲーム

狩人は挑戦者から挑戦される側へ、モンスターハンターライズ感想

かれこれ数週間たってしまったけど、完走した感想書きました。
商品紹介記事というわけじゃないので、本当にただの感想です。

この記事のターゲット→モンハンライズ買ってないけど過去作はプレイしたことある人

総評:ライズは「新時代のモンハン」である

まず、自分はこの「ライズ」をMHシリーズのクラシックなスタイルなゲームだと思っていた。
MHW(モンスターハンターワールド)をプレイしたことがある人ならわかると思うが、「今のモンハンはとっても親切」だ。

昔、モンハンと言えば「謎判定のタックル」「ボスより雑魚のが厄介」「圧倒的能力差」「ハンターの謎モーション」「〇〇を倒すために必要な武器に〇〇の素材が必要」・・・ととにかく謎システムが多く、結果マゾいというゲームだった。
これがポータブルシリーズ、Wiiへの進出、3DSへの移行と徐々に成りを潜め、MHWにおいては完全に主人公であるハンターはモンスターに対して「対等」となりえたという実感があった。

ライズは昔のモンハンではなく、MHWの正当進化作品だ。
「PS4からSwitchになったからXXの続編でしょ?」と思ってる人は自分のように意外と多いのかもしれない。
もう一度いおう、システムはMHWを踏襲している。

そもそもMHWはユーザーに対してかなりフレンドリーな設計だった。
XXまで採取をするにもハンターはかがみ込み、数秒間の無操作時間が発生し、それを3回繰り返す必要があった。
MHWでは走りがてら植物やハチミツの採取が可能だ。
鉱物もピッケルで1回振り下ろすだけ。「過去ではボタン3回&1回ごとに数秒の停止」で得られた結果と「ボタン1回&1秒未満の停止」の結果が同じなのだ。
一度これを経験してしまうともう過去には戻れない。

他にもサブキャンプの実装や、そのキャンプでのクエスト中の装備変更&アイテムボックスアクセス。
さらにキャンプ地へのファストトラベル等システム的な部分を挙げるとキリがない。

それくらいモンスターハンターワールドは「モンハンを過去にした作品」だったのだ。

では、ライズはどうか

モンスターハンターライズ(MHR)はシステムこそMHWを踏襲し、ブラッシュアップを行っている。
もちろんそれらはかなり快適であり、MHWで届かなかった痒かった背中にもしっかりと手が届いているように感じる。

間違いない、ゲームとして面白い。それがモンスターハンターライズだ。
そして、過去のモンハンを完全に過去のものとした。モンハンシリーズの区切りはMHWではない。ライズだ。

モンスターハンターライズは「今までのモンハン」を文化的に破壊した作品でもある。
当然これらは悪いことではない、同じことの繰り返しはいずれ作品を陳腐化させてしまうだろう。
MHWはこれを「システム面」で破壊した。
そして今回MHRでは「文化の破壊」をしたように思える。
この「破壊」と思った”何か”を以下に記載していこうと思う。

MHRのハンターは「挑戦者」ではない

早速大項目でこの記事における「伝えたいこと」を記載していく。

モンスターハンターシリーズは過去作品において共通する要素が存在する。
それが「ハンターはモンスターに対する挑戦者」であること。

あるときはココット村の新人ハンターとして
あるときはポッケ村にギルドから配属された新人ハンターとして
あるときはモンスターの調査員として
またあるときは新大陸を調査するエリートハンターとして・・・
システムがどう変わろうともハンターは「挑戦者」であり続けた。これがモンスターハンターシリーズだ。

ここで一つポイントとなるのがMHWという作品だ。

上の繰り返しにもなるが、もう一度おさらいさせてほしい。
モンスターハンターシリーズは初代である「MH」とそれにつらなる4作品(MH2/MH3/MH4/MHX)。
そしてその派生形であるポータブルシリーズでシステムが一貫している。
(上述した”謎システム”が搭載されている作品群、旧システムと呼ぶ)

この旧システム的に伐根的に破壊したのがMHWである。
エリア制の廃止を始め様々なテコ入れがMHWで行われた。
MHW以前の旧システム作品ではPCであるハンターはモンスターに対して弱い立場にあった
回復をすれば硬直が発生し、タイミングを見誤るとかえってダメージが増える。
相手は戦闘中攻撃し続けるが、PCは武器が刃こぼれしたら武器を研がないとならず、その間は無防備に。
(ライズでも同様だが移動しながら研ぎができる)
熱い場所では体を冷やすドリンクを飲まないとダメージが入るし、寒いところではスタミナが削られる。
モンスターが逃げたらそれに合わせて追う立場であり、2体同時にモンスターが出てきた時は「モンスター2匹VSハンター」が常であった。

ゲームバランスとしてモンスターも強かった。
PS2時代のMHは序盤の中型モンスターを倒すのにも一苦労で20分以上はかかった記憶がある。
大型モンスター相手では弱ったところで時間切れ、というのも珍しくなかった。
しかし、それを乗り越えて武具が強くなり前よりもタイムが縮まることに快感を覚えたのだった。

それがMHWの新システムではハンターとモンスターは「対等」の立場になったと思える。
今までハンターに対して猛威を振るった環境も利用してこちらに有利な状況を引き寄せられる。
モンスターが2体はちあった時はモンスター通しで縄張り争いを始め、ハンターはそこで漁夫の利を狙える立場になった。
ゲームバランスも調整された。
初期武器も強くなり、序盤の難易度は格段に下がったと思う。
システムとしてはMH4あたりから「高い壁への挑戦」から「よりスタイリッシュにスマートに相手を狩る」ゲームへと姿を変えていった。
その完成形がMHWだったように思う。
さらに、キャラクター設定においても今までは「新米」「新人」という立場が多かったが、MHWでは最初期から「エリートハンター」として評価される存在だった。
過去作に無いフックショットなどの装備が使えることの理由付けだろう。
システム的に、設定的に間違いなく「ハンターは強くなった」。

しかし、プレイヤーとしては違和感なく「今までのモンハン」としてMHWを楽しむことができたと思う。
MHWはシナリオとして「新大陸の調査」というお題目が掲げられており巧妙にハンターは「挑戦者」であり続けることができていた。
ハンターはモンスター溢れる敵陣に乗り込むわけだから当然だ。
プレイヤーは当然、自身が挑戦者と錯覚しMHWの世界に入り込むことができた。

少し長くなったがようやくライズの話に移ろうと思う。
モンスターハンターライズのハンターは「挑戦者」ではない。
クエストの流れややっていることはMHWと、むしろMHXXまでの過去作と変わらない。
しかし、今作においては上記のシステム的な優位にプラスし、”里を守る”立場であるハンターである。
ギルドからの正式な申請が通ったのが物語の始まりの時点であり、ハンターや忍者としての稼業は経験済みであるといった仄めかしがある。(ここに関してはMHWの”最初からエリート”と同じ)
さらに、極めつけは新システムの「百竜夜行」と「操竜」だ。

百竜夜行はいわゆる「タワーディフェンス型」のモードであり、数々のモンスターを砦の設備を利用して防衛、追い返すという内容になっている。
この構図がすでに「モンスターが挑戦者」となっている。今作を象徴するシステムだ。

操竜は過去作の「乗り」システムの進化系だ。
「乗り」ではQTE形式の操作でモンスター背上で格闘することで一定時間モンスターを無防備にできたシステムだったが、今作ではさらにモンスターを一時的に操作し強制的に従わせることができるシステムになっている。

ベースとなったMHWのシステムの時点で「モンスターとハンターは対等」であることに加え、シナリオ的な背景と新しい新2システムによってハンターのモンスターに対する優位性は増し、完全に「ハンターは挑戦を受ける側」に立っている印象を覚える。

長くなったが、このハンターとモンスターの立場の逆転がモンスターハンターライズの「文化の破壊」だ。
今まで挑戦者であったハンターは挑戦者なりえず、それを受ける立場となったのだ。

文化の破壊は悪なのか、MHWを伏線とした巧妙な設定

念のため記載するが、言わせてもらうとこの「文化の破壊」は悪ではない。
むしろ15年間続くシリーズの大前提、初代モンハンの「コンセプト」ともあった”強者への挑戦”の部分をここまで大幅に変更してゲームとして面白くなっている。
それでいて「これはモンハンじゃない」という違和感も生じさせないのは非常に高度なゲーム作りをしていると素直に感じた。

これは世界設定を始め、ゲームシステム、リリース時期何よりMHWを挟み込むという伏線張りも素晴らしい。
おそらくだが、MHW無しにこのモンスターハンターライズがリリースされていたら拒否反応を示す人は少なくなったかもしれない。

モンハンが発売されてから暫くし、ゲームハードがPSP全盛期。
西暦で言うと2010年頃に「モンハンコピー」と言われる作品が多く登場した。
PVEで大きなモンスターをマルチプレイで討伐するタイプのゲームである。
第一人者であるモンスターハンターはブランド力とプレイヤー人口で覇権を握ったが、”よりラフに””よりスタイリッシュに”目的を達成できるゲームは他社からも数本発表され、特にバンダイナムコのゴッドイーターシリーズは10年前モンハンを食いかけた存在だったと認識している。
あの時代に「モンハンはプレイフィールが悪い」と言われていたが、コンセプトの根幹を崩すわけにもいかなかったモンハンが10年以上の時を経てライズに至るのは中々感慨深いものを感じた。

おわりに

というわけで、色々書いてみました。
最後に「モンハンライズは買いかどうか」を問われれば間違いなく買い。
ゲームとして最高に面白いし、歴代最高峰の出来だと思います。

PCキャラのボイスがありになったりと、過去作と雰囲気が異なる点もありますが、大体設定で過去作品と同じ雰囲気にできるので安心をば。
もちろんDLCのG級が出てから購入してもいいと思いますし、1年後のSteam版を待つのもありかと思います。

PVからして過去作と雰囲気が違い「外伝か?」と思わせがちなモンハンライズですが、ワールドの続きとして正当進化してますし
記事にも書いた通り「新しいモンハン」の1作品目と感じれる出来です。

「ワールド迄プレイしたけどライズは見送り・・・」というスタンスの人がいたら間違いなく損だと思います。
歴代作品をやってるからこそ、ライズはプレイしてそしてモンハンの今までとこれからを見守ってほしい。

そんな作品だと思いました。